「パルプ・フィクション」にまつわるトリビア10連発

2016年4月2日土曜日 映画

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ざるそば食ってるアメリカ人観光客を見ると、「お前らホンマに味分かんのか?」と、つい余計なことを思っちゃいますね。

どうも、管理人です。先週はあまりにも忙しくて更新サボっちゃいました。 スミマセン。でも、そんな忙しい中でも、クエンティン・タランティーノ監督の最新作「ヘイトフル・エイト」だけは見てきましたよ、エッヘン。

今回の映画、ウルトラパナビジョン70mmフィルムを50年ぶりに復活させたことでも話題になりましたが、残念ながら日本では70mmロードショーバージョンは見られないようです。それに対応した映画館がもうないみたいですね。撮影技術については詳しくありませんが、美術監督を務めた種田陽平さんによると、70mmで撮ると「空間に多様性が生まれる」らしいです。70mmの場合はどこかにピントを合わせると周りがボケボケになってしまうらしく、同じ空間を撮っていてもカットごとに全然違った見え方になるんだとか。だから今回のような密室劇(3時間の大作!)でも、最後まで飽きずに見られちゃうってことなんですね~。さすが、タラちゃんですね。いつもながらディテールへのこだわりがハンパありません。まだ観てない方はぜひ映画館へ(ただし、「脳汁ぶしゃ~」が苦手な方は見ないほうがいいです)。あと、種田さんもおっしゃっていますが、ディテールを楽しむためにも、できるだけ大きい映画館で見るのがオススメです。

スミマセン、前置きが長くなりました(「ヘイトフル・エイト」の冒頭のロングテイクみたい)。 今回は、巨匠クエンティン・タランティーノの最新作公開を記念して、彼の出世作「パルプ・フィクション」にまつわるトリビアを紹介します。

この映画を初めて見たのは高校生の時でした。映画好きの友人が「すごい映画あるで」ちゅうんで、見てみたらバビリましたがな。時系列シャッフルなんて今では珍しくないけど、あの時はすごく斬新でね。当時無名だったサミュエル・L・ジャクソンのまざーふぁっかぶりにも度肝を抜かれました。それから、あの映画を見て以来、ハンバーガーとかミルクシェークとか、そういったアメリカ的なものへの憧れも強くなりました。クオーターパウンダーって何やねん?バニラコークって何やねん?食ってみたいな、飲んでみたいな~と。で、22歳の時に薄っぺらのボストンバッグを背負って単独渡米しましてね、デトロイトの空港でバニラコークを見つけて飲んだわけね。いや~、感動したな。ついに俺もアメリカに来たかと。

あと、タラちゃんの書く脚本は、随所に皮肉が効いていて素晴らしいんですのよ。例えば、「パルプ・フィクション」のオープニングで、ティム・ロスが強盗の相談をしている時に「Restaurant on the other hand, you catch with their pants down」( レストランなら不意を襲えるぜ)と言うんですが、映画の後半で実際に、ジョン・トラボルタがトイレでウ〇コしている時に襲撃されるんですね。まさしく"catch with their pants down"(ズボンを下ろしている時に襲われる)です。それから、「レザボア・ドッグス」で「俺はチップなんか払わない主義でね」と言っていたスティーブ・ブシェミが、「パルプ・フィクション」ではウェイター役で登場するという、この皮肉。たまりませんね~。そういう、にくい演出/セリフが、タラちゃんの脚本には散りばめられているんです。だから何回でも見たくなる。。。

スミマセン、また長くなりました(舞台となる山小屋になかなかたどり着かない「ヘイトフル・エイト」みたい)。

無駄話はこの辺にして、「パルプ・フィクション」のトリビア(これも無駄話か)にお付き合いいただきましょう。

1.スーツケースの暗証番号は666

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まずは軽くジャブ。ジョン・トラボルタが開けるスーツケースの暗証番号は“666”。日本人にはなじみがありませんが、キリスト教世界では“666”は「悪魔の数字」とか「獣の数字」とか言われていて、“13”と同じくらい不吉な数字として恐れられています。かつてレーガン元大統領が飛行機に乗ろうとして、便番が666だったので搭乗をキャンセルしたという逸話もあるほど。

それから、キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」にも“666”が間接的に登場しますね。主人公アレックスの囚人番号はおそらく666(その前後の囚人の番号が665と667だった)です。

あと関係ありませんが、小生がイトーヨーカドーに行くとたいてい229番の所に自転車を止めます。ニンニクです。覚えやすいでしょ? でもスーツケースの暗証番号を“666”みたいなゾロ目にするのはセキュリティ上よろしくないですね。893のスーツケースの中身はヤバそうですし、定期的に暗証番号を変更することをおすすめします。

2.あの財布はタランティーノの私物だった

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Jules: Now, I want you to in that bag and find my wallet.
Pumpkin: Which one is it?
Jules: It's the one that says "Bad Mother Fxxker".

ラストシーンで登場するこの財布、実はタラちゃんの私物(レプリカは26ドルで買えますよ)。映画の小物ならいざ知らず、「バッドマザーファッカー」と書かれた財布を日常生活で持ち歩けますかね。大木こだまやったら「そんな奴おれへんやろ~」とつっこむに違いありません。それから、ジョン・トラボルタとユマ・サーマンが乗っていたあの赤い車(64年式シボレー・マリブ)もタラちゃんの私物だとか。

3.ユマ・サーマンはほぼずっと裸足

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タランティーノは自他共に認める“足フェチ”。“脚”じゃなくて“足”のほうね。「パルプ・フィクション」のみならず、「ジャッキー・ブラウン」「キルビル」「イングロリアス・バスターズ」など、ほぼ全作品で足を強調したショットが見られます。よっぽど好きなんでしょうね。しまいには足のクロースアップを撮るだけでは飽き足らなくなり、自ら映画に出演してこんなことまで↓

これはアカンやつや~。目がいっとる、目が。

4.ミルクシェイクの味

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レストランでユマ・サーマンが5ドルのシェークを注文するんですが、その時スティーブ・ブシェミ扮する店員が「マーティン&ルイスにします? それともエイモス&アンディー?」と尋ねます。アメリカにはそういう飲み物(トム・コリンズ的な何か)が実在するんだとずっと思っていましたが、いずれも50年代に活躍したコメディコンビの名です。マーティン&ルイスは白人のコンビ、エイモス&アンディーは黒人のコンビ。つまりこれは「バニラ味にします? それともチョコレート味?」という意味なんですね。う~む、奥が深いっ。日本人に分かるはずがないっ。

5.武器のチョイス

image credit:http://movielistmania.blogspot.jp/

ブルース・ウィリスが質屋の地下に監禁され、変態野郎(ゼッド)にカマを掘られそうになりますが、何とか縄を解いて脱出に成功。そのまま逃げればいいのに引き返して復讐しようとします。その時の武器のチョイスは:

  • ハンマー
  • チェーンソー
  • 野球バット
  • 日本刀

実はそれぞれにちゃんと意味がありまして、ハンマーは「13日の金曜日PART2」、チェーンソーは「悪魔のいけにえ」、バットは「ウォーキング・トール」、日本刀は「子連れ狼」へのオマージュらしいです。

で結局、ブルース・ウィリスは日本刀を選んで地下に戻るのですが、脚本には「Holding the sword pointed downward, Takakura-Ken style」(高倉健みたいに剣先を下に向けて日本刀を持ち…)と書かれています。高倉健ってそんな刀の持ち方していましたっけ?

6.キーホルダーの“Z”

image credit: http://wiki.tarantino.info/

質屋から逃げてきたブルース・ウィリスの手のひらには“Z”のキーホルダー(変態野郎ゼッドのバイクのキー)。このショットの5分ほど前に質屋のネオンサインが一瞬ちらっと映るのですが、“KILLIANS RED”の一部が消えて“KILL ED”になっているんですね。これと“Z”を合わせると、“KILL ZED”(ゼッドを殺す)になります。最初に気づいた人すごいね。

7.Fワードが265回登場する

「パルプ・フィクション」はFワードが頻出することでも有名ですが、調べてみると意外とたいしたことありませんでした。。。ディカプリオ主演の「ウルフ・オブ・ウォールストリート」では569回もFワードが使われていました。上には上がおるものですね(Wikipedia情報)。

8.あの痛いシーンは逆回しだった


(※閲覧注意:痛いです)

ユマ・サーマンがヘ×××をコ×××と間違えて鼻から吸ってしまい、口から泡を吹いてぶっ倒れてしまいました。そこでトラボルタがアドレナリンの入った注射器を心臓に突き刺します。映画史に残る「超痛いシーン」です。実はこれ、オモチャの注射器を胸から引き抜くショットを撮って、それを逆回しにした映像なんだとか。ちなみに、目を覚ましたユマ・サーマンの胸をよく見ると・・・赤のマーカーでつけたはずの印が消えている! 怪奇現象です。タラちゃんがこんな凡ミスをするはずがありませんから。

9.エゼキエル25章17節の意外なルーツ

この有名な処刑シーンでサミュエル・L・ジャクソンが、旧約聖書の預言書の1書「エゼキエル」から25章17節を“引用”します。


心正しき者の歩む道は、心悪しき者のよこしまな利己と暴虐によって行く手を阻まれる。愛と善意の名において暗黒の谷で弱き者を導く者は幸いなり。なぜなら、彼こそは真に兄弟を守り、迷い子達を救う羊飼いなり。よって我は、怒りに満ちた懲罰と大いなる復讐をもって、我が兄弟を毒し、滅ぼそうとする汝に制裁を下すのだ。そして、我が汝に復讐する時、汝は我が主である事を知るだろう。(The path of the righteous man is beset on all sides by the inequities of the selfish and the tyranny of evil men. Blessed is he who, in the name of charity and good will, shepherds the weak through the valley of darkness, for he is truly his brother's keeper and the finder of lost children. And I will strike down upon thee with great vengeance and furious anger those who attempt to poison and destroy my brothers. And you will know my name is the Lord when I lay my vengeance upon thee.)


いかにも旧約聖書にありそうな仰々しい文面ですが、実際にエゼキエル25章17節に書かれているのは最後の1文だけです。じゃ、どこから取ったのかといえば、意外や意外、千葉真一主演の「ボディガード牙」のオープニングらしい↓


たぶんアメリカの配給会社が勝手に付け足したものだと思われますが、誰が何を思って付け足したのか気になりますね。「探偵ナイトスクープ」に捜査を依頼するか。

10.ボスのバンドエイド

image credit: http://www.cityoffilms.com/

マフィアのボス、マーセルス・ウォレスの後頭部に貼られた謎のバンドエイド。ものすごく不気味ですよね。ディテールにこだわるタランティーノならではの演出かと思いきや、マーセルスを演じるヴィング・レイムスが、頭をシェーブしている時にカミソリで切っただけらしい。バンドエイドを貼って撮影現場に現れたレイムスをタラちゃんが見て「YOU、それいいね。剥がさずに撮っちゃお」となったとか。

低予算でもいい映画は作れるんだぜ

以上、「パルプ・フィクション」にまつわるトリビア10連発でした。最後までお付き合いしてくれた方、ありがとうございます。自分で言うのも何ですが、今回は無駄に長かったですね(上映時間168分の「ヘイトフル・エイト」みたい)。

「パルプ・フィクション」の制作費はわずか800万ドル(ざっと8億円)。 ハリウッドでは2000万ドル(20億円)程度で「ローバジェット(低予算)」と呼ばれることを考えれば、800万ドルなんて超ローバジェットです。でもこれだけの名作を生み出せるんですから、やっぱりタランティーノは偉大だ!

今日はこれにて終了。さようなら~。

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