「ズーランダー2」の分かりにくいギャグを字幕翻訳家が徹底解説

2016年8月11日木曜日 映画

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image credit: http://www.comingsoon.net/

どうも、下ネタDJポリスの管理人です。先日Twitterでもお知らせしましたが、サタデー・ナイト・ライブ(SNL)のタラン・キラムとジェイ・ファロアの降板が決まりました。ジェイのモノマネ特集を組もうとしていた矢先にこんなことになるとは・・・ホント残念です。

お話変わりまして、今日のテーマは、日本でソフト発売されたばかりの「ズーランダー2」。ベン・スティラー主演のあの伝説的おバカコメディーが15年ぶりに帰ってきました(このシリーズの魅力については、こちらにも書きましたので参考にしてください)。

ぼくも早速DVDで見ました。見終わって最初の感想:字幕を担当した人はさぞかし大変だったろうな~。だって、相変わらず日本人には伝わりにくい言葉遊びやギャグが満載なんですもん。そこで、そういった分かりにくいギャグを、SNLの字幕制作にたずさわるぼくが解説しようではあ~りませんか。

ヤドカリ

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事故をきっかけにモデル引退を決意したデレク・ズーランダー。その時のセリフが”I will retire from modeling and live alone as a hermit crab.” 直訳すると「ボクはモデルを引退し、ヤドカリとして独りで生きていくことにした」ですが・・・ヤドカリって? 

実はこれ、一種の言葉遊びなんです。hermitには「世捨て人」「隠遁者」という意味がありますが、それにcrabを付けちゃうと「ヤドカリ」という意味に変わっちゃいます。

ちなみに字幕では「隠遁生活」にかけて「隠生活」となっていました。吹き替えでは「世捨て人」にかけて「ポイ捨て人」。どちらも素晴らしい。

ジャック祭り

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ビリー・ゼインが隠遁生活中のデレクにDVDを届けるシーン。彼が持ってきた映画は「エージェント・ライアン」と「アウトロー」。それを受け取ったデレクのセリフが“Tonight’s gonna be a total Jack-off”でした。

「エージェント・ライアン」の原題は「Jack Ryan」、「アウトロー」の原題は「Jack Reacher」。どちらにも“ジャック”が入っています。でも、邦題からは何のことか想像がつきません(主人公の名前を覚えていたら別ですけど)。それからもう一つ。”Jack-off”は、”jerk-off”(いわゆるシコシコ)にかけています。

字幕では確か「今夜はジャックで抜き放題だぜ」みたいな感じだったと記憶しております。

KKK

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デレクが、ファッションショーに出ることを決意した理由をこう話します。“Child Service hears I’m working, KKK, responsible parent.” (ボクは無職じゃない、つまり“責任ある親”だってことを児童保護局に分かってもらえる) デレクは、保護者失格を理由に息子を取り上げられていたのです。

このKKKはa.k.a.(=also known as)の言いまつがい。KKKとは悪名高きクー・クラックス・クラン(白人至上主義団体)の略です。

字幕は「いわゆる」とかになってたと思いますけど、イマイチですね・・・。ぼくならどうするかな?「とどのつまり」を「のどのつまり」にするとか・・・。うーん、これもイマイチだな。

バリー・ギブ

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ドン・アタリ(カイル・ムーニー)がヒゲ面のデレクを見てひと言。”Check out Mr. Disco Barry Gibb(みんな、バリー・ギブを気取ったこの男を見てくれ)

バリー・ギブってのはビージーズの三人兄弟の1人(ひげもじゃオヤジ)のこと。ま、これは日本人でも分かるか・・・。

このバリー・ギブ、SNLでジミー・ファロン(写真右)がモノマネしていました↑

Where’s the beef?

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ドン・アタリの腕には、ジェダイの格好をしたカーネル・サンダースのタトゥーと共に“Where’s the beef?”の文字が。

直訳すると「牛肉はどこ?」。昔のウェンディーズのCMで使われた超有名なフレーズです。ライバル社のハンバーガーの肉の少なさをディスったもの。日常表現としても定着し、「で、要点は何?」「君の話は中身がない」みたいなニュアンスで使われます。

歩くティラノサウルス

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息子と再会したデレク。息子の博識ぶりに驚いてひと言。”You’re like a walking Tyrannosaurus(お前、歩くティラノサウルスだな)

このティラノサウルスはシソーラス(類語辞典)の言いまつがい。

字幕では「君は歩く書だな」、吹き替えでは「お前は歩くドカンだな」でした。後者は「図鑑」にかけたのかな???

Basic bitch(ベーシック・ビッチ)

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ハンセル(オーウェン・ウィルソン)の乱交仲間の1人が、アリアナ・グランデちゃんに吐いた暴言。”You’re a basic bitch!”

過去記事でも書きましたが、ベーシック・ビッチとは、「自分の意見らしい意見を持たずトレンドに流されているだけの薄っぺらい人間」のことを指すスラングです。男性形は、ベーシック・ブロ(basic bro)。

スタバのラテ飲んでる奴、UGGのブーツ履いてる奴、クリスピークリームドーナツを食うために1時間も並ぶ奴、バナナダイエットとかしてる奴・・・、挙げれば切りがありませんが、こういうのがベーシック・ビッチの好例ですね。

残念ながら、字幕・吹き替えには反映されていませんでした。でも、日本ではなじみのないスラングなので仕方がないでしょう。

ニール・ドグラース・タイソン

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カメオ出演者の一人、ニール・ドグラース・タイソン。

って誰?それが日本人の自然なリアクションでしょう。

彼は、アメリカではかなり有名な天体物理学者です。宇宙関係のドキュメンタリー番組によく出演しています。日本で言ったら、脳科学者の茂木健一郎さんくらいの知名度ですかね。カメオ出演者の中では一番サプライズ感がありました。

10時間セックスしたってホント?

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ハンセルが憧れのスティングにした質問。”Do you really have sex for ten hours”(10時間セックスしたってマジ?)

元ネタは1990年のスティングの発言。奥さんのトゥルーディ・スタイラーと「7時間にわたるタントラ式ヨガセックス」をしたんだって。タントラ式が何か知らんけど、気になる方は自分で調べてみてね。よっ、このどスケベ!

「ママが死ぬまで」

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ムガトゥ(ウィル・ファレル)のセリフ。”That’s how I killed your mother! On CBS, right after Two Broke Girls!”(それが「ママが死ぬまで」の真相よ。CBSで、「NYボンビー・ガール」のすぐあとに放送中)

「How I killed your mother」は、CBSの人気シットコム「How I met your mother」をもじったもの。邦題は「ママと恋に落ちるまで」。HuluかNetflixで観られるようになるといいんだけど・・・。

「ズーランダー2」:アホらしさは半減したが、それでも愛すべきおバカ映画

長くなったので、今日はこの辺で。この「ズーランダー2」、バカバカしさやギャグの勢いでは第1作に劣るものの、コメディファンにとっては愛おしい作品でした。もうちょっと早くムガトゥを出してくれればよかったのにね・・・。

しかしぼくは「シン・ゴジラ」も「ゴーストバスターズ」も観ないで、一体何をやってるんだろう。この、バカ、バカ、バカッ!

ってことで、よいお盆休みをお過ごしください。また来週~。

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