トランプ就任式の翌日、アジズ・アンサリがSNLで語ったこと(全訳)

2017年1月25日水曜日 テレビ

aziaansari_snl
Will Heath/NBC

メリークリスマス! よいお年を! 明けましておめでとう! 今年もよろしく! ってかブログ開設1周年じゃ~!

全国10万人(?)のファンの皆さま、大変ご無沙汰しております。前回の更新からずいぶん間が開いちゃいました。ゴールデングローブ賞の翻訳をやったり、奥さんのZozotownを返品したり、年明けからドタバタしていたもので。すまん、すまん。

本日紹介するのは、先日SNLに初登場したインド系コメディアン、アジズ・アンサリです(※正しい発音は”アジーズ・アンサーリ”、みたいな感じ)。スタンダップコメディアンとして修行を積んだのち、『Human Giant』『Parks & Recreation』でブレイク。最近ではNetflix制作コメディ『マスター・オブ・ゼロ』でエミー賞脚本賞を受賞しました。今乗りに乗っている注目の若手コメディアンでございます。

そんな彼が、先日『サタデー・ナイト・ライブ』(SNL)に初登場しました。ドナルド・トランプの就任式の翌日ということもあり、期待通り過激な人種ネタをぶち込んでくれましたね。若手ながらデイヴ・シャペルに負けず劣らずのパフォーマンスだったので紹介します。全文をテキトーに和訳したのでご一読を。

ステレオタイプをぶっ飛ばせ!アジズ・アンサリ渾身のモノローグ

ありがとう!どうもありがとう!ワーオ、信じられないよ。僕がSNLのホストを務めるなんて。

しかもトランプの就任式の翌日だぞ。うーむ。でも考えてみるとクールだね。今頃トランプは、自分がインド系の男に茶化されてるのを家で観てるんだもんな(笑)。

クレイジーな2日間だった。昨日はトランプ大統領が就任し、今日は1つのジェンダーが総出で反トランプデモを行った。ワーオ。(訳注:「ウィメンズ・マーチ」のこと)

みんな、あのデモを支持すべきだ。あれだけ人々は関心を持ってるってこと。超クールだよね。でも気をつけなくちゃいけない。トランプに投票した人たち全員を悪者扱いしちゃダメだ。「トランプに投票した連中は全員アホで、人種差別主義者で、ミソジニシストで、ホモフォビア」って言う人もいる。でも待って。トランプに投票した人は6300万人もいるんだぜ。中には極端な奴もいるけど、全員をそういう目で見ちゃいけない。きっと異なる政治的プライオリティを持った人もいただろう。躊躇しながら彼に投票した人もいたはずだ。

大勢がトランプに投票したけど、きっとそれは、大勢がクリス・ブラウンの曲を聴くのと同じ。「俺はただ彼の曲が好きなんだって。マジで曲だけ。他のことは知らないよ。彼のダンスと音楽は好きだけどさ、あいつの悪行を許したわけじゃないぜ」(訳注:クリス・ブラウンは2009年に恋人のリアーナに暴行を加え逮捕された。2016年にも暴力事件を起こしている)

考えてみるとさ、ドナルド・トランプって基本的にクリス・ブラウンの政治版だよね。スローガンの「アメリカを再び偉大にしよう(Make America Great Again)」は、彼流の「あのアバズレどもには誠実さってもんがねえ(These hoes  ain’t loyal)」なのさ。(訳注:クリス・ブラウンの曲”Loyal”の歌詞)

今アメリカは分裂している。でも大丈夫。僕らは政治的な大問題をめぐり常に分裂してきた。でも心配しないで。互いに敬意をもって接し、結局のところみんな同じアメリカ人だということさえ忘れなければ、僕らは大丈夫だ。

でも問題は、新しい勢力だ。ほんの一握りの人たちだけどさ、トランプ大統領誕生を受け、度を越したはしゃぎっぷりを見せている。こういう人たちだ。トランプの当選が決まるや否や、「人種差別主義者じゃないってフリをもうしなくていいんだ!もう演技しなくていいんだ!また人種差別主義者に戻れる!やったー!」(と言いながらナチス式敬礼をするアジズ)

おいおいおい。やめろ、やめろ。もし君らがそういう連中なら、どうか演技を続けて。人種差別主義者じゃないってフリを続けて。君たちの貢献に一度も感謝してこなくて申し訳なかった。君たちがどれほど努力して演技してたか知らなかったよ。どうかその演技を続けてくださいませ。

この2年間、彼らにはキツかっただろうね。オバマに、『Empire 成功の代償』、『ハミルトン』…。ヒットに次ぐヒットだ。それと『スター・ウォーズ』。ストームトルーパーを演じるのは白人と決まってたんだもんな。気持ちは分かる。確かにキツかっただろう。だけど、いい加減にしなくちゃ。

誰のことを話してるか分かるよね。小文字版KKK(lower-case K.K.K.)とでも言うべきか、カジュアルな白人至上主義を広めた連中のことだ。「アタシも試してみよっと。ちょっとだけならいいでしょ~」って。おい、ダメだダメだ。僕が言ってるのは、こう叫びながら走り回ってる奴らだ。「トランプが勝った。お前はアフリカに帰れ!」「トランプが勝った。お前はメキシコに帰れ!」そして奴らは僕を見て言う。「トランプが勝った。お前は・・・お前の出身地に帰れ」

そうさ。ああいう連中は地理に詳しくない。

ところで僕ら全員、移住することになってるの?全てのマイノリティが?人口の40%以上だぞ。マイノリティが一人残らず移住すると本気で思ってる?

ビヨンセは移住する?しないよね。

僕も移住する気はない。いいかい、僕の両親は80年代初期にインドからサウスカロライナ州に移った。9年前に引越しするまでずっとそこだ。どこに引っ越したか知ってる?ノースカロライナ州だ。そこが気に入ってるようだ。彼らもアメリカを出る気はない。

小文字版KKKが幅を利かせてる。ヘイトクライムが増加している。僕の肌は茶色。つまり南アジア系だ。ああいう連中は、日常生活で南アジア系に接したことがないんだろう。彼らが唯一目にする南アジア系は、ニュースで報じられるモンスターのような犯罪者だ。悪い人なんて、全体のほんの一握りなのにね。

たぶん必要なのは、犯罪のニュースを伝えた後にもう1本ニュースを流すことだ。ごく普通のことをやっている南アジア系を取り上げるんだ。差別主義者を落ち着かせるためにね。

ニュースはこんな感じになるだろう。「容疑者は武装していると思われ危険です。一方で武装しておらず危険じゃない人もいます。こちらのイスラム教徒4名はシカゴでナチョスを食べていました。映像を見てみましょう。おおっと。ナジールがカーキズボンにチーズをこぼした模様です。ディップを欲張りすぎましたねー。誰にでも経験があります」

イスラムに嫌悪感を抱く人はたくさんいる。でも理論上、嫌う意味が分からない。イスラム教における神は、アブラハムの前に現れた神と同じだ。彼らはユダヤ教やキリスト教と同じ神を崇めてる。(訳注:この点を理解していない人は日本でも多い) それでも人々は恐怖を抱く。なぜか。映画やテレビでアラブ人が登場するたびに、『ホームランド』の曲をバックに祈りを捧げているからさ。そりゃ怖いだろうよ!

それを見てみんなこう叫ぶ。「げげげ、あいつら何を言ってるんだ!?」と。ただ「神は偉大だ」と言ってるだけなのに。宗教なら普通のことさ。いい加減にしろ。イスラム恐怖症に終止符を打ちたければ、音楽を変えるだけでいい。もしBGMがこんな風だったら(訳注:『ベニー・ヒル・ショー』というコメディ番組のテーマ曲)、「わー、イスラム教って変わった宗教なんだね」で済むさ。

トランプは演説すべきだ。小文字版KKKを非難する本物の演説を。僕やSNLがつまらないとかツイートするなよ。スピーチを書け。本物のスピーチを。ああいう連中がのさばってるから、多くの人がぶちキレてる。でも演説すれば状況が改善されると思うよ。歴代の大統領の中にもそうした演説をした人がいたが、それは効果的だった。ヘイトクライムとかが減った。

例えば、ジョージ・W・ブッシュは9・11のあとに演説を行ったが、効果はてきめんだった。状況が改善された。彼はこう言ったんだ。少しだけ引用しよう。「イスラムとは平和だ。今回のテロの首謀者はイスラムを体現する者たちではない。彼らは戦争と暴力を体現している。我々の敵はムスリムたちではない。我々の敵は急進的テロリストのネットワークに他ならない」これを聞いてみんな拍手を送った。民主党員も共和党員もね。党派は関係ない。だってこれは政治とは関係ないんだもん。人間の品性に関わる問題だ。なぜこの国が作られたのかをもう一度思い出させてくれた演説だった。

その演説を観ながら僕は思ったね。「一体何が起きたんだ!」と。ジョージ・W・ブッシュの時代を懐かしむ日がくるなんて。演説を観ながらこう思ったよ。「なんて偉大なリーダーだったんだ!」と。16年前は「なんてクソ野郎だ」と思ってたのにね。でも今は「彼は雄弁さでアメリカを導いてくれたんだ」と感動しちまってる。

みんなによく考えてもらいたい。今不安になっている人はたくさんいるだろう。厄介な時期だからね。

トランプに夢中になっているのなら、それでよし。彼は大統領だ。彼がいい仕事をしてくれるよう期待しよう。

トランプに恐れや不安を抱いていても、それはそれで大丈夫。だってアメリカの歴史を振り返ってみてよ。変革は大統領からは生まれない。変革は、怒れる大衆から生まれるものだ。就任初日の様子を見る限り、君たちはいまだかつてないほどの“怒れる大衆”だと言えるだろう。

君たちに幸運を祈る。

(終わり)

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